卒業生からのアドバイス
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「卒業生からのアドバイス」
2020/05/08 更新
大学教員,2015年博士修了
地域環境工学科では,公務員を除くと,農学や農業に直接関係しない職業に就く卒業生が多数派だと思います。私もその一人で,現在は大学で教員として勤務していますが,所属先は工学の土木工学分野です。名刺の「博士(農学)」の肩書を珍しがられる環境で,もちろん,学生時代に灌漑排水について学んだり,農場でのトマトの収穫やトラクターの運転を経験した人は周囲に見当たりません。しかし,この周りと違う特異な背景が何か新しいものを生み出すきっかけになるかもしれないと考えています。残念ながら今のところ,私自身は力不足により素晴らしい成果を得るにはほど遠い状況です。学部卒業後は人によって様々な道を辿りますが,四年間の間に皆さんの中で培われた農業工学の素養がその先の研究や仕事に予期せぬ化学反応をもたらすことを願っています。
2020/05/08 更新
鉄道,2012年修士修了
農業機械が直結しない鉄道会社に就職しましたが,大学時代に学んだ事柄は,思っていた以上に活きています。技術職として必要な基礎的教養は網羅されており,むしろ,農学部だからこそ学べた幅広い分野の知識が他の工学系出身者にはない強みになっていると感じます。
 講義,実習,研究など,京都大学に与えていただいた環境は今思い返しても素晴らしいものであったと感じます。が,これをいかに活かすかは自分次第だとも思います。少しでも有意義な学生生活になるよう,がんばってください。
2020/05/07 更新
国際機関(世界銀行),1996年修士修了
世界でも求められている農業土木の技術
 今国際機関で働いている中央アジア地域(5か国)では灌漑の整備・近代化によって作物生産を2030年に20%,2050年には50%増加させることができると期待されています。私自身も稲作農業支援などのため駐在もしたアフガニスタンではペシャワール会の中村哲先生(医師・農業土木技術管理士)が灌漑用水路事業により東部ナンガルハール州の砂漠地帯を10年の年月をかけ穀倉地に変えられ,農業土木者への期待と責任の重さについて技術者へのセミナーの場でコメントされておられたことは忘れられません。農業土木技術が,そして特に私が今海外で事業実施支援をしている灌漑が,気候変動対策として,食料や水の安全保障の強化として,雇用の確保として,そして経済発展に貢献しているということを強調したいと思います。水理学等の必要科目を習得し,その上で,水利施設計画・設計,広域の水管理(流域水管理計画)あるいは水資源確保としてのダム等オペレーションに関するもの,資源としてあるいは塩類集積にも影響を与える地下水の動き等分析に関するものなど,さらに深めていく。現場であるいは研究分野で求められているもの・役立つものがいろいろとあると思います。大学の先生からまた学会で学び,国内外のいろいろな機会に触れ,これまでの偉業・今・未来を感じ,しっかり学び,それぞれの道に力強く進んでいって欲しいと思います。がんばってください。
2020/05/01 更新
政策コンサルタント,2013年修士修了
@広く学び,いずれは専門家へ
他の学部学科と比べて,領域の幅が広そうだという理由で本学科を選び,在学中は農学以外に経済学や教職課程にも視野を広げましたが周囲から頼りにしてもらえる人材として成長していくためにはいずれ専門性が問われることとなります。学生のあいだに限界まで幅を広げ一生を捧げられるテーマを探す土台を築きましょう。
Aアンテナの感度で差がつく
何かに詳しくなるためには,情報収集力が必要です。情報技術の発達により,効率的に情報収集できるツールが次々と現れています。これらを惜しみなく活用し,データを自在に操る術を身につけましょう。
Bこまめにアウトプットしよう
得られた知識を自分なりの言葉に変えて発表する習慣を持つことも重要です。もちろん研究の場合は,学術論文が理想ではありますが,私は,研究以外のことも含めてブログを書くようにしていました。その経験が,就職活動やその後の仕事に活かされたと思っています。
C地域社会に対する感性を磨こう
自然や社会をどのようにコントロールするかを考えることが他の地域との差別化につながり,ひいては地域を成長へと導きます。本学科では,課題が先鋭化した地域へ足を運び,農業を通してこのコントロール手法について知見を深めることができる絶好の環境が提供されます。結果的に私は農業からは少しズレて観光分野にいますが在学中に養った地域社会に対する感性は,どこにいても,いつの時代も大切です。この環境から,魅力的な地域をつくる人材がたくさん巣立ってくることを期待しています。
2020/04/28 更新
機械メーカー,2013年修士修了
  本学科は,農業の持続的発展や地球環境の保全を目的に,水や土地といった生産環境や農村の生活環境等の課題解決に取り組むところです。私は,地球環境問題,特に水環境問題に興味がありこの学科を選び,今も水環境の仕事に就いています。学生時代は,農業排水や環境負荷に関する研究を行いました。非常に自由な環境で研究させてもらい,在学中に学んだ色々なことが社会に出てから役に立っています。それと同時に,もっとまじめに勉強しておけばよかったと後悔しています。研究内容と仕事内容が直結することは稀ですが,学生時代に学んだことは,必ずどこがで活きてきます。院生活含めた6年間は,長いようで一瞬です。無駄な時間を過ごさないよう,多くのことを学び,全力で遊んで学生生活を有意義に過ごしてください。
2020/04/27 更新
地方行政機関,2012年修士修了
 地域環境工学科で学ぶ農業農村工学は,世界規模の「グローバル」な社会問題から地域単位の「ローカル」な課題まで,その取り扱う範囲は多岐に及びます。また,単なるインフラの整備にとどまらず,国内や世界の大部分を占める農村地域の社会生活や自然環境を変えていくことができる分野です。求められるニーズは時々刻々と変化していきます。これらの課題に対して,学生時代に実践を通じて全体を俯瞰する一方,細部にこだわって考えていく力を養うことができるのは,その後の社会人生活においても非常に貴重な経験だと思います。積極的に様々な事例を体感し,それらの経験を糧にして,各分野で活躍されることを期待しています。
2020/04/20 更新
自動車メーカー,2012年修士修了
 移り変わりが激しい世の中ですし,想定していた仕事で働き続けられるという保証もないので,これをやっておけば安心ということはなかなかないのかもしれません。ただ,専門分野の知識が生かせないのではないかと思う場所でも研究や学生生活で試行錯誤したことは卒業してからも糧になります。たくさん迷って学んでください。 
2020/04/10 更新
農林水産省,2011年学部卒
  私にとっての農業農村工学とは,「農業農村や途上国の社会課題解決に取り組むプロフェッショナルの学問」です。 私は現在,国家公務員そして国際公務員として農業や農村の振興,途上国の開発協力,日本企業の海外支援に取り組んでいます。 学生時代の勉強が社会に役立つのか? 皆さんも疑問や悩みを抱えているかもしれません。 少なくとも私が地域環境工学科で学んだ経験は,現在の仕事で必要な社会課題解決に直結する技術や知恵を与えてくれました。 それは,私達の日々の食や暮らしを支える農業や農村に思いを馳せ,先人達の技術,知恵,苦労,喜びへの理解を深めることで,農村の文化や伝統を未来に引き継ぎ,そして農村の未来を耕し,切り拓いていく力です。 食料生産の根底で必要となる「農地」と「水」,そして「農村」と「人」。 その根本の基礎となるインフラを整備し,未来をデザインする農業農村工学は社会から永遠に必要とされる学問です。 そして,その活躍の舞台は公務員に限らず多種多様です。皆さんも地域環境工学科での学びを通じて,共に農村,世界を変える一員になっていただければ幸いです。
地方行政機関,2005年修士修了
 公務員の仕事には府民の大切な税金が使われているため,持続的な農業や地域の活性化に本当に必要なものを作っているかを常に考えるようになりました。そして,そのためには計画段階から地域の方々と十分話し合い,ビジョンを固め,それぞれが役割を認識することがどれだけ重要かを実感しました。それは,まさに農村計画の基本であり,大学で基礎を学び,卒論や修論でより実践的に地域の分析をしたり多くの事例を勉強したことが,働く上でとても役に立っていると思います。
独立行政法人(研究職),2003年修士修了
 社会生活では様々な情報が溢れ,取り巻く状況の変化も激しく,様々な問題に対応していく必要があるかと思います。しかし,問題解決に必要な基本となる知識や方法は色々な場面で共通する点があるかと思います。社会生活ではこれらを習得する時間を別に取ることは困難ですので,大学では基本的な知識を確実に習得し,研究を通して問題解決方法を習得した方が良いかと思います。これらが疎かだったため,現在,苦労しております。
農林水産省,2002年修士修了
 環境問題に興味がありこの学科を選びました。ここでは,環境を変える技術とその基礎科目について学ぶことができます。正直,結構難解です。同時に,技術を使う目的をしっかり考えてください。経済学(特に,環境/資源/生態経済学)をいっしょに学んでみましょう。技術がないとなにもできません。でも,技術があっても間違った使い方をすると様々な問題が発生します。あと,学生の間に英語を使えるようにしておくこともお勧めします。
環境コンサルタント,2002年学部卒
  「現場力と俯瞰力」 近年,世の中は複雑化し,ある政策や対策方法が,ある面から見るとベネフィットに,違う面から見るとリスクになるというケースが多く,これらを比較した上でベターな解を判断しなければならない状況が多くなっています。例えば,農薬の使用を禁止にすると収量は減少するが手間は省け低コスト化が図れる,農薬を規制しないと収量は上がるが,農作業者,消費者の健康リスクは上昇する,といったケースです。

 私は地域環境工学科を卒業後,土壌地下水汚染の環境コンサルタント→横浜国大の博士後期過程に進学→復職,という道のりを歩いてきました。現在,土壌・地下水汚染問題が「問題」と呼ばれなくなることを目標に,リスク/ベネフィットの比較から最適な解を発見し実践することを,産官学の皆様と連携させて頂きながら取り組んでいます。

 この取り組みの中で,私が大切と感じ,実践していることを簡単に紹介します。一つ目は,本やWEBの情報だけではなく,「現場において肌で感じた問題」,そして「志を持って取り組める問題」を対象とすること,二つ目は,その問題を自分の専門分野のみから眺めるのではなく,多方面から俯瞰した上で解法を探ること,三つ目は,現場レベルで実際の解決を図るための行動を起こす,ということです。

 これには,@現場に出る積極性と問題察知能力,A学問分野をまたがった横断的な知識と分析能力,そして,B解決のための深堀した専門的な能力が必要になります。

 近年,水,土壌,食料といった「農学」の対象が再び重要視されはじめています。「農学」がますます重要となる時代において,みなさんが地域環境工学科で志を持って取り組める生涯のテーマと邂逅し,それを解決するための能力を身に付けられることを心から祈念しています。
材料メーカー,2004年博士修了
 大学や大学院で行っている研究は仕事に直結しないかも知れませんが,基礎科目や学力は直結しています。
農機メーカー,2007年修士修了
 農学部の中の工学系ということで機械工学を学んだ人に劣るという不安がありましたが,実際にはあまり差がないように感じています。むしろ農学部という組織にいたことで工学部では学べないこと(生物や環境等)に対して,バックグランドを持てたように思います。様々な分野を跨ぐ農業工学のメリットではないかと思います。ただ,数学や力学をおろそかにすると,ただの「物知り」で終わってしまうのではないかとも考えます。
一般機械メーカー,1991年学部卒
 英語能力特に「聞く」,「話す」能力は近年その必要性が加速度的に高まっています。口語英語力を伸ばすことは社会人になってからでも可能ですが,読解の基礎力を向上させるのは難しいです。材料力学,振動,熱などの工学基礎分野はもっと学生時代に勉強しておけば良かった。不真面目学生であったことが悔やまれます。
一般機械メーカー,1999年修士修了
 会社生活では教科書通りの問題はむしろ少なく,日々様々な問題が発生します。こういった場面に遭遇しても瞬時に対応できる能力が会社では求められています。将来の仕事にとらわれずに幅広く勉強しておくことをお勧めします。会社員になると勉強する時間もほとんどなくなるからです。「語学(特に英語)」はしっかり身につけておいた方が良いです。
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